薬剤師の仕事は多岐にわたり、さまざまな職場で活躍することができます。一般的には、約6割が薬局での勤務とされていますが、病院やドラッグストア、さらには公務員としての道もあります。

今回は、「薬剤師の転職先としての幅広い選択肢」についてご紹介します。これまでとは異なる分野での挑戦に興味がある薬剤師の方にとって、参考になる情報となるでしょう。

【薬剤師の活躍する職場と働き方(基本)】

●ドラッグストア

ドラッグストアでは、一般用医薬品や衛生用品、介護用品、化粧品などの販売業務を担当します。薬剤師の役割として、要指導医薬品や第一類医薬品などの販売もあり、セルフメディケーションの支援を行います。また、健康に関する相談を受けることもあり、やりがいを感じられる職場です。

調剤併設型の店舗では、保険調剤も行われており、処方箋調剤に携わることも可能です。

●病院

大学病院や市民病院などの薬剤部や薬剤科での勤務も、薬剤師の重要な職場です。ここでは臨床の現場で活躍し、患者の治療に参加します。医師や看護師とのチーム医療を経験できることや、治療段階から関われることが特徴です。

ただし、患者の状態によっては長時間勤務や不規則なシフトもあり、注意が必要です。

【薬剤師の活躍する職場と働き方(一般企業)】

●コールセンター

製薬会社や医薬品卸などの企業では、医療関係者からの問い合わせに対応する役割を担います。医薬品情報の提供や収集、競合品のデータ収集など、専門的な知識が求められます。特に「DI業務」では、最新の論文や学術ニュースの収集・提供も行われます。

●化粧品メーカー

化粧品メーカーでも薬剤師が活躍できるフィールドがあります。新規成分の研究や素材開発、薬事申請や広告表現の薬事チェックなど、薬事関連の業務があります。最近では皮膚科医との共同開発も増えており、臨床経験を活かせる場面もあります。

●治験コーディネーター(CRC)

治験コーディネーターは、治験を実施する施設での業務をサポートする役割を担います。検査の立ち合いや書類作成、プロジェクトチームの調整など、多岐にわたる業務があります。

●臨床開発モニター(CRA)

臨床開発モニターは、製薬企業などから依頼を受け、治験を行う医療機関のサポートをします。医療機関の選定や関連書類の作成、モニタリングなどを担当します。社員として働く方法と、CROと呼ばれる派遣先で働く方法があります。

●MR(医薬情報担当者)

MRは、医薬品の情報提供や収集・伝達を行う役割です。薬剤師の資格は必須ではありませんが、薬物治療の高度化に伴い、薬剤師がMRとして活躍するケースも増えています。

【薬剤師の活躍する職場と働き方(公務員)】

●公務員薬剤師(国家公務員薬剤師/地方公務員薬剤師/麻薬取締官)

公務員としての道も、薬剤師のキャリアの一つです。厚生労働省や都道府県、市町村の保健所などで働く薬剤師は、国民の健康を守る重要な役割を担います。国家公務員薬剤師は、薬事行政に携わることが主な任務です。一方、地方公務員薬剤師は、地域の保健活動や病院での業務を行います。また、麻薬取締官として活躍する薬剤師もおり、麻薬や不正薬物の取り締まりに携わります。公務員としての安定した給与や福利厚生、地域への貢献度が魅力ですが、公務員採用試験を受ける必要があります。

●食品衛生監視員

食品衛生監視員は、食品衛生法に基づいた職務を担います。国家公務員としては港湾での輸入食品の検疫業務や地方公務員としては、市町村の保健所での監視業務などを行います。食品の安全性や衛生管理に関わる業務であり、国民の健康を守るために重要な仕事です。

●学校薬剤師

学校薬剤師は、大学以外の学校での薬剤師です。学校内での薬品管理や健康相談、保健指導、環境衛生の維持管理などを担当します。また、管理薬剤師としても兼任されることがあり、学校薬剤師としての業務と薬局での業務を両立させることも可能です。生徒や教職員の健康管理に貢献し、安心・安全な学校環境をつくる役割があります。

●薬剤官

薬剤官は、自衛隊の衛生分野で活躍する薬剤師です。陸・海・空の病院や部隊で、隊員の健康管理や治療支援を行います。自衛隊の任務に従事する際は、医療品の調達や管理、治療の支援など、多岐にわたる業務が求められます。時には海外での任務もあり、厳しい環境下での活動も含まれますが、国民の安全を守る重要な役割を果たします。

転職を検討する際のポイント

薬剤師のキャリアは、さまざまな職場での経験やスキルを積み重ねることで、幅広い活躍の場が広がります。転職を考える際には、以下のポイントを押さえておくとスムーズに進めることができます。

自らのスキルや経験をしっかりと把握する。

✓転職先で求められるスキルや資格をリサーチする。

✓転職コンサルタントを活用して、キャリアプランを立てる。

✓複数の求人情報を比較し、希望条件に合致する職場を見つける。

薬剤師の仕事は多岐にわたりますが、自らの適性や目指すキャリアに合った職場を見つけることが重要です。積極的に情報収集し、自分に合った転職先を見つけるためにも、しっかりと準備をしておきましょう。

薬剤師が異業種に転職する際の注意点

異業種への転職にはさまざまなメリットがありますが、気をつけるべき点もあります。ここでは、その注意点2つを紹介します。

①求人数の少なさ

薬剤師の求人情報は、調剤薬局やドラッグストアなどの伝統的な職場では比較的多く見つけることができますが、MRや治験コーディネーター、品質管理・品質保証職などの異業種になると求人数が少ない傾向があります。さらに、このようなポジションへの応募者は多いため、競争率が高いと言えます。異業種への転職を考える場合は、応募先を見つけるまでの時間や労力を考慮し、じっくりと準備をすることが重要です。

②仕事内容のハードさ

異業種に転職すると、仕事内容が前職よりもハードになる可能性があります。特に業種によっては、異動や残業が増え、転職前に比べて負担が大きくなることもあります。また、転職先によっては転勤や出張が発生する場合もありますので、これらの点も考慮しておく必要があります。プライベートや家庭を大切にしたい場合は、転職先の勤務条件や仕事環境をよく確認し、自分に合った職場を選ぶことが重要です。

異業種への転職は新たな挑戦や成長の機会を提供してくれますが、求人数の少なさや仕事内容のハードさなど、慎重に検討する必要があります。自分のキャリアやライフスタイルに合った転職先を見つけるために、じっくりと準備をし、情報収集を行うことが成功への近道です。

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